第10章 一九四五年以降の軍備競争と指令経済の時代
第十章は戦後について語られるのですが、この章は戦後の軍事・戦争史をさらっとなぞるだけであまり目新しい要素がありませんでしたので、軽く流そうと思います。
米ソの核兵器開発競争と相互確証破壊による奇妙な国際平和。
その中でも相手を出し抜こうとする兵器開発競争が進行します。
具体的には、レーザー光線や長距離弾道ミサイルの開発競争です。
そして、大国間の戦争は起こらなくなっても、代理戦争やアジア・中東・アフリカでの紛争はなおも続いております。
特に発展途上国においては、近代的な軍隊こそが国家権力を掌握し、市民を抑圧する手段として機能していて、様々な軍事政権が現れては消滅しております。
結論
古代から現代までを網羅したボリュームのある本だけあって、紹介記事も非常に長くなってしまいました。
やや取り留めのない「老教授の語り」感も否めない本ですが、随所に新しい発見もあり、なかなか良い本です。
自由市場と軍隊の関係が変遷していく過程や、武器の発展により戦争のやり方が変わっていき、国家行政の仕組みに影響を与えていく場面。
また逆に、国家行政の仕組みが戦争のやり方に影響を与え、それが戦争の趨勢にとって決定的な役割を果たす場面。
私が持っていなかった視点が多く、非常に新鮮でした。
まさに「戦争の世界史」というタイトル通りの一冊。
「戦争」と「世界史」を戦記物としてではなく、学術的な観点から読み解きたい人にはお薦めの一冊です。
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